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 学校までは一本道だから皆が島の真ん中の道を歩いて学校に通う。車は台数も少なかったので生徒達は横一列になって歩く。それでも時々先生が乗るバイクが来た時はモーゼの海が割れるみたいに生徒達の塊が両側に分かれた。 私達はいつも最後尾の集団を死守していたが、焦りはなかった。『すこし早いから休んで行っか?』 『うん』3人は道からそれて畑の脇の土手で風を避けながら日向ぼっこする。『あったけな~』 『あぁあ』『...
夏休みには朝のラジオ体操と部落ごとの盆舟造りがあった。 盆舟とはお盆の終わりの精霊送りに使う船。麦ワラで造られているが4、5メートルを越える大物。この船にお盆で供えた線香や供物を乗せ、子供達がそれを沖まで一緒に泳いで送って行くという段取り。沖に流してしまうのだから毎年造らなければならない。 そしてこの舟を造るのは子供達だけで大人は実質的に手を貸さない。その地区地区の中学生がリーダーとなり(まあ平た...
天気がいい日は元気に外で遊びたいのが人情と言うか正しい子供の姿。いくら夏休みの宿題がたまっているとは言え、大人しくプリントなんかには向かってられない。増してや毎日続く真夏日は太陽が頭上200メートル位まで近づいたように暑いから、なお更のこと家の中なんかには居られない。 数十分は我慢してても全て投げ出して海に飛び込みたくなる。その内如何にか成るさと現実逃避の日々を続けるとやはり最後には泣き泣き宿題を...
時間はあっという間に過ぎて目の前を3時の友福丸が通り過ぎる。長渡に向かう船が視界から消え丁度佐渡島に掛かったあたりで汽笛がボォ~つと3回鳴る。そして遅れて船が作った横波がざぶんざぶんと浜にたどり着く。ジリジリと容赦なく3人を照らしていた太陽は、西の山のタブノキの枝の中に隠れ、浜は徐々に日陰に成って行く。いつの間にか蝉の声も油蝉とミンミンゼミからカナカナ(ヒグラシ)にかわっていた。『ともふぐ来たから...
浜に持ってゆくのはおにぎりと水だけ。後は遊びながら捕ったのを焼いて食う。枯れ木を集めて火をおこし、突いた魚に串を挿し焚き火の周りに並べる。ウニや鮑は火の中に放り込む。直火で炙って焼きあげた魚やウニは香ばしくて美味い。捕った子も捕らなかった子も平等に分けて食べる。この歳からこんな食べ方をしていたら確実に舌は肥えてしまう。...
田んぼ道を歩きながら蛙を見つけるとヤスで突いてイタズラする。大概は相手が逃げてくれると信じてやっているのだが稀に命中する時もあり大慌てしたりする。ヘビを突いてしまった時は『焼いて食おう!』何て意気込んでいたが、焚き火で焼き丸焦げになったそれはおぞましく誰も手を出さず海に捨ててしまった。まあ子供なんてこんなもんである。田んぼのあぜ道を通り過ぎ、小さな沢をピョンと撥ねるとタブノキの間からタダワキの浜が...